花冷えという言葉がしっくりくるような、あたたかな日差しのなかに少し冷たい風が混じる日々が続いています。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

私たちが何気なくふれているハーブは、世界中からこの京都・西陣へとやってきています。遠い異国の情勢は、私たちの日常やこの小さなお店とも決して無関係ではありません。
たとえば、「花舞う大地」などのブレンドに彩りや香りを添えてくれる美しいピンクローズ(ダマスクローズ)。現在はイランから届いたものを使用しています。私自身はまだその地を訪れたことはありませんが、とても豊かな土壌に、見渡す限りの綺麗な景色が広がっていると聞いています。

ピンクローズの産地は他にも、ブルガリアやモロッコなどあり、これからの状況によっては、商いとして別の産地へ切り替えることも視野に入れなければならない日が来るかもしれません。 それでも、身の回りにある小さなことの先に広い世界が繋がっていることは常に意識していたいですし、できることなら、自分の意志で選択を重ねていきたいと願っています。
イランと聞いて思い出すのは、昔、大学院に通っていた頃に出会った二人の留学生のことです。 彼女たちは母親でありながら、日中はきらきらと目を輝かせて一生懸命に研究へ打ち込み、子どものお迎えとの時時間を格闘しながら異国の地で頑張っていました。
あるとき、私が進路に悩んでいた際、彼女たちに相談をしたことがあります。 「それはあなた次第ね。だけど、それはもったいない気もするわね」 ふと、彼女たちが返してくれたそんな言葉を思い出すことがあります。
最近、ニュースなどで遠い国の情勢を見聞きするにつけ、改めて考えさせられることが増えてきました。 ひとりの人として相対した時に感じた彼女たちの素敵な人柄と、情報として届く「国」の印象には、やはり違いがあるものです。 それは、私自身が日本という国を代表しているわけではないのと同じことなのでしょうね。

情報というものの流れが大きく変わったこの時代。 AIなどの技術で、情報はいくらでも素早く「処理」できるようになりました。 しかし、自らの手で触れた大事な感覚を自分の中で消化し、血肉化していくこと。そして、ときにコトバやモノとして、自身の思いを乗せて「情報として形作ること」の大切さは、これからも変わらないと感じています。
だからこそ、自分の感性で直接触れて、感じたものを大切にしたいと思うのです。

春の少しそわそわする気分をリセットしたい時や、一日の終わりのくつろぎの時間に。 一杯のハーブティーが、あなた自身の感性を取り戻すための、小さなお守りのような存在になりますように。
