しばらく間が開いてしまいましたが、昨年の年末の改装記です。
しばし細かい所の内容が多かったので、あまりここで載せるような内容がなかったのですが、
少しだけご紹介。
プライベート用の玄関先。
やく1年以上埋め戻しもせずガタガタだったので、
なんとか年が明ける前にまともな状態に戻しました。
向かって奥側にあるのは左、裏鬼門のスペース、右側は足洗い場を
解体して土の中から出てきた御影石うまいこと囲んでつくりました。
テーマは遺跡風。
養生をして、以前やった三和土風土間の材料の残りを使って
自分でやってみました。
微妙な勾配がありましたが、なんとか形になりました。
近所の人に一体何者なんだというお声を頂きましたが(笑)、
予想を上回る精度でできました。
自分でもどんどん何者かわからなくなってきました(笑)。
一人で材料捏ねて、打つという作業だったので写真がありませんが、
間違いなく不思議な光景だったでしょう~。
~~番外編 木風呂~~
ここからは、店舗の改装とは関係ないのですが、
改装に時間のかかっている理由として、自宅スペースの改装もしているということがあります。
その中で前から、やってみたかった木風呂を作ってみました。
最初、どうせやるならいい材料を思って、高野槇という木の材料を色々探していたのですが、
なかなか予算と釣り合いの合う材料が見つからず・・・。ええ材料は見つかってもなかなかのお値段。
木材ってのは値段があって無いようなもので・・・。また腕があがった時のお楽しみにとっておくことに。
では、どうしようかと。色々考えていると、初めての製作だし、とりあえず入る桶がほしかったので、
まずは身近な材料の杉(スギ)で今回は作ることにしました。ホームセンターの安い足場板も最初考えたのですが、さすがに最低でも2~3年はもたせたかったので、いつも材料をお願いしている製材所さんに頼みまして、赤みたっぷりのものを寄せてもらいました。
※木には大きく分けて赤身と白太という部分があって、赤身は芯に近い方、白太は年輪の外側にあります。
赤身のほうが一般的に油分を多く含んで水に強いと言われています。良い香りがします。
桶の作り方は、基本的に箱を作るのと同じなのですが、水に触れるところなのでもともとの木の性質の伸びたり縮んだりすることを考えてあげないといけません。いきなり漏れまくっても困るので(笑)
作ってみて分かったこともあるのですが、水を含むと木は膨らむので思ったよりも水はもれません。もちろん長持ちしたい場合はしっかりしたものを作る必要がありますが・・・。
まずは製材から。
●機械を使って長方形の形にします。その際、死節は埋めておきます。
一枚だと板の幅が狭いので、何枚かを剥(は)ぎます。
ようするにくっつけます。テーブルなどの造作には、ビスケットいわれる本当に食べられるビスケットのようなものを
挟んで強度をプラスするのですが、ここではより強度を求めますので(水圧はかなり強力です。)、雇い実継ぎで。写真のように細い木を挟み込みます。
●次に箱の形に組む加工を。
基本的には、どの接合部も欠き込みを入れます。
一応、ちゃんとした名前だと「片胴付追入継」。
大型機械は持っていないので、ルーターと治具を作って、掘り込んでいきます。
●欠き込んだ材料を組み上げます。
組み上げたあと、ステンのビスでとめて、頭を埋木して隠してあげます。
なんとか形になりました。
そして、使い始めて一ヶ月たちますがちゃんと使えています(笑)。
底板は突き合わせの方がよかったな~とか、色々と反省点はありますが、
さてさて何年もってくれるか楽しみです。
ちなみに木風呂は入った後、ちゃんと水を抜いて、拭いてあげる必要があるようです。これは木風呂を作っている職人さんが言っていたので間違いありません!どんないいものでもこれを怠ると長持ちしないようです。
身の回りのものをちゃんと手を加えながら生活する。そういう一見手間のかかることのなかに本質的に生きるということの要素があるように思えます。生き物は動くし、いうこと聞かないし、いつかは朽ちていく。そんなことを考えると堅苦しいですが、こういうったことの中にこそ本来の楽しみってものがあるんじゃないかと思うんです。
改装を初めてもうすぐ2年になりますが、自分の生活をつくるという行為そのものに興味があって、こうしてやってみて、
そこからでてくる問題というか、色々な考えがとても貴重な体験となっているんだと思います。
これはお店をOPENした後も、何かしらの形にできるようなそんな予感を感じるようになってきました。
またぼちぼち改装記書いて行きたいと思います。
ぜひ、気長にお待ちくださいね。