2015/10/17 秋の御茶会
心地よい秋晴れの、御茶会前日16日。
場のしつらえ用にと、畑の周りに自生するススキを刈りに行ってきました。
青空のもと、風に吹かれてなんとも素敵な風景です。
それでは、御茶会当日。今回挑戦したのはススキで結界を作るということ。
『結界』とはもとは仏教用語で
聖なる領域と俗なる領域を秩序を維持するために区域を分ける事
のようです。
お茶の世界では、もてなす側の亭主(ていしゅ)と客、先生と生徒、
上座と下座など相手を敬う心を形にしていろいろな仕掛けを作っていきます。
結界にはいろいろあるそうで、扇子や屏風、広い意味で障子や襖なども
結界になるそうです。ちなみにお茶会用の小さい扇子は
開いたりあおいだりしてはいけないそうです。知らないと開いてしまいそうですね。
今回、なにか面白い仕掛けはできないものかと試行錯誤して、
ススキを使って結界を作ったら面白いのではないかというアイデアが浮かびました。
そううして出来上がった結界がこちらです。
土台の木材の桜に同素材で小さい足を組みました。
支えの棒は真鍮です。少し繊細な雰囲気に仕上げてみました。
背丈より高いススキはダイナミックにそのまま飾ってみました。
ススキ野原の気分を味わって頂きたくて。
ススキは大きめの古いガラス瓶に挿していたのですが、瓶では寂しかったので
分厚い手漉きの和紙をくるっと巻いて麻紐で飾ってみました。
本物の陶器に見えたようで、和紙だと知って驚かれる方もいました。
手前の大皿には柿を飾って秋らしく。
大皿は木工作家の隼瀬大輔氏の作品。
シルキーオークという木に浮造り加工を施し、さらに漆を重ねた作品です。
一瞬、金属のようにも見えますが、触ると木の柔らかさを感じられる素晴らしいお皿です。
今回のイベントのために特別にお借り致しました。
綺麗に鉋仕上げをした木枠の底板の黒い部分、こちらはアルミに漆を塗るという斬新なアイデア。
丁寧な仕事に洗練された美しさが光る作品です。
さて、本日の御茶会はハーブのお席と御茶のお席、二種類の異なるお席を楽しんで頂く企画です。
まずはハーブのお席からスタートです。
今回選んだブレンドハーブティーは『まばゆい光』たま茶オリジナルの瞳にやさしいブレンドです。
8種類のハーブがブレンドされています。
せっかくなのでブレンドしたハーブを種類ごとに分けてそれぞれのハーブの香りや
機能を説明しながらお客様にも香りを確認して頂きました。
この香りがどんな風に混ざるのか想像がつかないわ、などいろいろな感想がでました。
ブレンドされていると、どれがどの香りかなかなかわからないですよね。
様々な香りの違いを体感していただけた様子でした。
説明が終わり、すべてのハーブをチョイスして混ぜているところです。
美しい色が重なりました。
黄色いお花はマリーゴールド。たま茶農園でワイルドに育ったもの
なので美しいオレンジ色です。収穫量はとても少ないのでイベント用です。
夏頃の様子です。
それでは、おそらく世界初?の茶釜を使ってのハーブのお点前。
ハーブの抽出時間は三分。その間にカップやポットを温めたり・・・。
そして本イベントのテーマは『和×ハーブ(西洋)』
ハーブティーに合わせるのは和菓子。
『もみじ』という名前のとても可愛らしい生菓子を瑠奈さんがセレクトして下さいました。
中はつぶあんです。
お待ちの間に和菓子を。
「美味しい~」
皆様の幸せそうな笑みがこぼれます。
お茶菓子の後は『まばゆい光』を味わっていただきます。
まばゆい光は少し酸味のある、赤色の綺麗な色のブレンドです。
「和菓子の甘さがスーッと流れて口の中がさっぱりする」
「和菓子とハーブティーって合いますね」
「初めての体験です、美味しい」
など、様々な感想が飛び交い、とても新鮮でした。
ハーブティーって意外と何にでも合うんです。皆様もぜひ、お試し下さい。
では、お抹茶のお席。瑠奈さんの登場です。
お抹茶に合わせる御菓子は洋菓子。
たま茶がお抹茶にあわせて製作致しました『ココアとアニスのパウンドケーキ』です。
こちらはバターの代わりに生クリーム、オーガニックココナッツオイルを使用しました。
たま茶のブレンドハーブティー散歩の途中でも使用している無農薬のバニラビーンズを一年程
お酒に漬け込んで作ったバニラエクストラクトを使い、優しい天然の香りがふわっと。
アニスとマスカットレーズンがアクセントに。
お抹茶を点てる前に御菓子をお運びするのですが、
ハーブティーのお席との繋がりを表現する意味でお客様の目の前で
マリーゴールドをはらりとひとつまみ、瑠奈さんに飾っていただきます。
ココアの色に鮮やかなオレンジ色が映えます。
御菓子を乗せている桜の木のプレートは店主の西山善喬が製作致しました。
ウォルナットを使ったものもあり、一枚ずつデザインが違います。
では、お点前を。
茶釜でお湯を沸かすことでまろやかなお湯になりお抹茶の甘みが増して美味しくなります。
心を込めて・・・。
お抹茶を入れる道具、なつめですが、こちらも隼瀬さんにお借りしました。
ちょっと珍しく竹の素材に中は黒い漆、蓋の上部に朱色の漆が鮮やかな作品です。
「お抹茶とパウンドケーキ、優しい感じで美味しい」
「ハーブティーは口の中が川の上流のような爽やかな感じになり、お抹茶はどっしりした川の下流のよう」
と素敵な表現をされる方もおられ、お客様の感受性の豊かさに驚きました。
これを機会にお家でも気軽にお抹茶をたてたいですね。
そういう時は洋菓子、和菓子どちらでも好きなものを合わせてみて
ご自分の好みや新しい味わいを発見したりと、感性を磨くのも楽しいものではないでしょうか。
お茶道具や器の説明をされています。
秋の御茶会に合わせた器が並びます。
お手伝いに駆けつけてくれたルイちゃんクリスくん(写真には写っていませんが)
ありがとうございました。お運びなどをして頂きました。
最後に三人で写真を。
皆様、ありがとうございました。
また御茶会をやって欲しいとのご意見を頂けて幸せです。
季節を感じ、味を楽しむ。
忙しい日常に忘れてしまっている些細な事を
思い出すきっかけにでもなれば・・・。
しばらくこのススキの青々しい香りと景色を眺めて頂きたいと思いまして、
たま茶の営業日に合わせて21日(水)までこのままに。(御茶のお席ではススキは20日までのようです)